2015.10//4 あなたの祈りは届いている

◆(列王上8:54-61、使徒言行録10:1-8)
 あなたの祈りと、あなたが人の痛みを知って自分のものを分かち合っていることは、神の前に届き、心に刻まれた。(本田哲郎訳:使徒言行録10:4)
 「啐啄そったく同時」という禅語があります。雛が内側から殻を突いて音をたてることを「啐」、すかさず親鳥が啄(ついば)んで殻を破ることを「啄」と言うそうです。それが同時に起こると雛の誕生です。そんな瞬間を見たことはありませんが、養鶏舎の鶏は卵を温める機会がありませんから、本能はどうなってしまうのか心配です。
 カイサリアにコルネリウスという名の人がいたと聖書は告げます。彼は①イタリア部隊(コホルス600人)の隊(センチュリア100人)長、②信仰篤く、③一家揃って神を畏れ、④民に多くの施し(惜しみない行為)、⑤絶えず神に祈っていた。ずいぶん詳しい紹介です。カイサリアは古い港町で、ローマ帝国が総督を常駐させるほどの拠点でした。
 キリスト教はユダヤ教の信仰共同体から生まれました。聖書の実践や習慣も組織のあり方もユダヤの伝統を引き継いでいます。9章までの話は、ユダヤ人共同体での話ですが、10章から「そろそろ、外国人にも伝道しよう」というのではありません。
 コルネリウスには祈りの時間があったようで、おそらくユダヤ人のように、9時12時3時の3回。
3時の祈りの時、天使が祈りの部屋に入ってくるのを幻に「はっきり」見ました。しばらく見つめていましたが、ハッと恐ろしくなり「主よ、何でしょうか」と聞きます。天使は「あなたの祈りと、あなたが人の痛みを知って自分の物を分かち合っていることは、神の前に届き、心に刻まれた」「今すぐ、ヤッファに人を送り、ペトロを呼ばれるシモンと言う人をこちらに寄こさせなさい・・(本田哲郎訳)」と。
 1549年ザビエルが鹿児島に、1846年ベッテルハイムが琉球に、1859年リギンズ、ウイリアムズ、フルベッキが長崎に、ヘボンが横浜に上陸し日本に福音を伝えました。それから150年以上。(1877年、長沢弥左衛門らに応え、コーレル宣教師が松本に)。
 本日は世界宣教日。私たちの教会も世界各地に伝道者、奉仕者を送り出しています。「たゆみない祈りと惜しみない提供」があるなら、必ず神に届きます。もし、自分のためでなく、人の必要を覚えて祈るなら、(まだ知らぬ)隣人も祈って下さっています。